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第四分科会

分子・スペクトルの外部電場効果:基礎から生体分子、細胞まで

講師: 中林 孝和 先生 (東北大学 教授  

紹介文:
外部電場を印加することによって、分子構造の理解から反応・物性・細胞状態の制御までを行うことができます。分子に電場を印加すると、Stark効果によって吸収および蛍光スペクトルがシフトまたはブロードニングをします。このスペクトル変化を理論解析することによって、電子励起状態の構造情報を得ることができます。さらに、吸収や蛍光強度そのものが変化することがあります。この変化は電場による回転または電子励起状態からの緩和・反応の電場変化に対応し、反応や緩和過程の電場制御・機構の解明へと繋がります。また、赤外吸収スペクトルの電場効果も測定されており、基底状態の分子の会合構造、振動モードの非調和性、さらにタンパク質内にある特定の官能基の極性環境など、他の手法では得ることが難しいユニークな情報が得られています。

 これらの電場効果は、気体や溶液、膜、固体といった様々な系で測定されており、各系での分子構造や反応の電場制御を行うことができます。さらにスペクトル変化だけではなく、機能性材料の研究では、電場印加による電荷移動錯体の伝導性の制御、生物の研究では、電場効果による細胞のアポトーシス(細胞死)の効果的誘導、細胞内イオン濃度の変化などが報告されています。

 本分科会では、主に生体分子に着目し、電場効果のスペクトル変化の基礎と応用、そしてさらなる展開について、平易に説明します。また、生体分子の分光学のトピックスや、メカノバイオロジーとしてのナノ秒パルス電場を用いた細胞の電場効果についても紹介します。講義は以下の点を考慮しながら進める予定です。

(1) 式変形を行い、電場効果の背景となる理論について理解できるようする。

(2) 電場効果の実験方法、さらに生体分子や細胞の実験方法についても説明し、参加者が研究室に戻ってまたは将来に電場効果や生体分子の実験ができるようにする。

(3) 生体分子だけではなく、気体、界面および固体の研究者についても、自身の研究と電場効果を組み合わせられるヒントを与えられるようにする。

(4) 電場効果および生体分子の分光学のトピックスに触れ、今後の展開について検討する。

 電場効果を理解したい・研究してみたい、生体分子や細胞の分光に興味がある、また何だかわからないけど興味がある方、ぜひ御参加下さい。



担当:  戸田 尚吾 (関西学院大学 重藤研究室 D1)

担当連絡先:    sec4_at_ymsa.jp
※担当連絡先はお手数ですが「_at_」を@に変えて頂きますよう、よろしくお願い致します。

担当者コメント:

 第四分科会では,東北大学の中林孝和先生をお招きし,分子・スペクトルの外部電場効果について基礎から解説していただきます。外部から電場を印加することで物質の構造や機能を制御することができるため,外部電場が引き起こす現象は材料科学や医学の分野へ応用されています。また,生体分子の水和水や電池内部の材料は電場にさらされた環境で機能していることから,そのふるまいを明らかにする上で電場が物質に与える影響の理解が必要不可欠です。そこで本分科会では,外部電場に対する分子の応答を分光学的に観測する基本的な手法から,電場による細胞状態の制御等に関する最新のトピックスまでを学び,外部電場効果に関する理解を深めることを目的とします。物理学的な内容から生物学的な内容まで幅広い知識を得ることができる絶好の機会です。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

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