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第二分科会

大規模分子の凝集シミュレーション計算手法


紹介文:
大規模分子の凝集反応を取り扱う計算手法として,分子力学法に基づいた分子動力学計算が広く用いられます。分子力場計算では残基ごとに原子のパラメーターを設定し,そのパラメーターを用いて原子間の力を計算することで,数万原子を超える分子に対しても高速な計算が可能です。その一方で,パラメーターがシミュレーション中に変化しないため,金属原子を介した凝集などの,化学結合の変化を伴うような反応を取り扱うことはできません。このような反応は,原子間に働く力を量子化学計算により求めることで取り扱うことが可能となります。しかし,通常用いられるHartree-FockDFTなどの量子化学計算は計算コストが高く,凝集反応が観測できる程度のシミュレーションは小さい系に対してしか適用できません。
 このような系を取り扱うために精度と計算コストのトレードオフから,量子力学(QM)と分子力学(MM)の計算手法を組み合わせたQM/MM法がしばしば用いられます。この手法では注目したい部分だけを量子化学で取り扱いますが,反応する部位が特定されていないなどの理由でQM領域が大きくなると,適用が困難になります。そこで,ある程度の精度を保証しつつ低コストで計算可能なQM理論の利用,オーダーN理論の適用などを行うことで大規模分子に対してもQM/MM(あるいはQM)分子動力学計算を行うことが可能となります。
 本講義では大規模分子の凝集反応をQM/MM分子動力学計算で取り扱うための,基礎的な理論について解説します。初めに,本講義で使用する分子動力学法と量子化学計算手法について解説します。その上で,QM/MM計算,大規模QM計算の理論へ展開していきます。時間があれば,これらの理論をより効率的に実行するための,プログラムの作成方法についても解説します。また,例としていくつか計算を行う予定です。こちらでも行いますが,ノートパソコンを持参していただければ実際に計算を体験できると思います。


担当:  海老澤 修一 (北海道大学 武次研究室 M1)

担当連絡先:    sec2_at_ymsa.jp
※担当連絡先はお手数ですが「_at_」を@に変えて頂きますよう、よろしくお願い致します。

担当者コメント:
第二分科会では分子科学研究所の西澤宏晃先生をお招きし大規模分子の分子動力学計算の理論とその適用についてお話していただきます
 西澤先生は主に大規模系のMD計算の理論とプログラムの開発をされています近年は密度汎関数強束縛法 (density-functional tight-binding method) に対し分割統治法 (divide-and-conquer method) を適用したDC-DFTB法に基づいた計算プログラムDC-DFTB-Kの開発など大規模系のQM計算が抱える膨大な計算コストの削減に取り組まれています
 今回は大規模分子の凝集反応を題材とし大規模分子のMD計算に必要となるQM (quantum mechanics) 計算とMM (molecular mechanics) 計算の基本的な理論についてご解説頂きます次いで高精度なQM計算と低コストなMM計算を組み合わせた計算手法を用いた (MD手法である) QM/MM-MD計算についてご解説頂き、MD計算に関する理解を深めた上で、QM/MM-MD計算の応用例や大規模系のQM計算への理論展開に関するご説明をして頂きます。
 MDの理解を深めたいという方巨大な分子の計算に興味がある方などは専門を問わず是非ご参加頂ければと思います
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