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第四分科会

イオン液体の界面科学:その場観測と表面科学的視点

講師: 本林 健太 (名古屋工業大学 助教)

紹介文:
室温で液体となるイオン性化合物、イオン液体は、その優れた物理的特性から最近注目を集める新材料です。様々な応用展開が期待され、中でも二次電池などの電気化学デバイスの電解液としての活用が有力視されています。デバイスを駆動する電気化学反応の設計と制御にあたっては、反応場である電極と溶液の界面で何が起きているのか、分子科学的な視点から理解することが重要です。イオン液体には、従来型の電気化学的考え方による電極界面の構造モデルが直接あてはまりません。最近の様々な理論的・実験的な取り組みによってようやく、イオン液体/電極界面の微視的な描像が見え始め、現在でも検討が続いています。 

 固液界面を実験的な側面から検討する上で最初に直面する困難は、固液界面がいわゆる「埋もれた界面」であり、分析の際に固体や液体が「邪魔」であることです。これを乗り越えるアプローチには二つあります。一つは、界面を構成する最低限の要素を残して邪魔な液体を取り去り、様々な表面科学的分析手法が使える真空中で仮想的な固液界面を詳しく観測する「モデル表面的」手法です。もう一つは、液体も存在するできるだけ実界面に近い状態で、限られた分析手法を駆使して固液界面の分析に挑む「その場観測的」手法です。前者は界面の微視的描像を詳しく議論できる一方、実界面での再現性についての疑義がつきまといます。後者は逆に、実界面の観測は保証されますが、得られる情報には限りがあります。両手法の一長一短のギャップをどう埋めてどう力を合わせるか、それは両分野の研究者がここ最近頭を悩ませている問題でもあります。 

 本講義では、イオン液体/電極界面の科学の進展について、基本的な考え方から最新の話題まで幅広く解説します。その中で、モデル表面的手法とその場観測的手法を合わせることで何ができるのか、参加者の皆さんと議論しながら学んでいきたいと考えています。 



担当:    岡上 大二朗 (大阪大学 福井研究室 D1) 

担当連絡先:    sec4_at_ymsa.jp
※担当連絡先はお手数ですが「_at_」を@に変えて頂きますよう、よろしくお願い致します。

担当者コメント:

 第四分科会では、名古屋工業大学の本林健太先生をお招きして、イオン液体/電極界面科学の進展を解説いただき、その場観察と表面科学的視点の重要性について講演していただきます。 

 本林先生は表面科学分野で最先端である、STMを用いた単一分子化学の研究でご活躍されたのち、近年では、表面増強赤外分光法(SEIRAS)を用いて、固液界面におけるその場観察の研究をなされ、多くの成果をあげられております。 

この第四分科会では、凝縮相を代々取り扱ってきましたが、凝縮相で最近の一大トピックといえばイオン液体です。イオン液体は様々な興味深い性質を持ち、特に電気化学分野では電解質としての応用が期待されています。しかし近年、電極界面で、従来の電気化学の知識に従わない特有の振る舞いを示すことが明らかになってきました。この課題に取り組むためには、凝縮相によく用いられる電気化学だけでなく、表面科学からの微視的視点が不可欠です。 

 そこで本分科会は、表面科学出身の本林先生から表面科学の基礎と、凝縮相界面研究への応用を学ぶことで、固液界面科学の最前線に触れることを目的とします。バルクでもなく表面でもない、両者の知識を組み合わせて初めて見えてくる固液界面を学べる絶好の機会です。皆様のご参加を心よりお待ちしております。