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第三分科会

光受容タンパク質の分子科学研究

講師: 井上 圭一 生 (名古屋工業大学 准教授)

紹介文:
自然界において太陽光は生態系に欠かせないものであり、多様な生物が光を生体化学反応のエネルギー源や周囲の環境を認識するための情報源として、その生存に利用している。そしてこの時電磁波である光と相互作用し、そのエネルギーを吸収することで、関連する生体反応を駆動するのが多種多様な光受容タンパク質である。中でも我々にとって最も身近な例が、動物の視覚を認識するための網膜中に存在するロドプシンと、植物の葉緑体の中で光合成を行う光化学系である。また近年光を使って損傷したDNAを修復する、光回復酵素についての研究が2015年のノーベル化学賞の対象となったことも記憶に新しい。 

 これら光受容タンパク質は、光で反応をトリガーできるという性質を活かすことで、その反応過程を極めて詳細に調べることが可能であり、タンパク質の反応機構を調べるためのモデル系として、長年広範な研究が行われてきた。またさらにその中で各種分光法や理論化学計算などの分子科学的研究が、これらの分子の理解に大きな役割を果たしてきた。そこで本分科会では講師の専門とする光受容膜タンパク質である「微生物型ロドプシン」を中心に、過渡吸収法やフーリエ変換赤外分光法、ラマン分光法、量子化学計算、分子動力学計算などを用いてこれらの光受容タンパク質のメカニズムがどのように理解されるか、過去の事例と共にその詳細を学ぶ。微生物型ロドプシンは近年のゲノム研究により、非常に広範な生物種によって利用され、また多様な機能を発現することが明らかになっており、そのメカニズム研究はタンパク質の動作原理を理解する上で極めて重要な役割を果たすと期待される。そして本分科会では光遺伝学(オプトジェネティクス)などの応用研究を含めた光受容タンパク質研究の最前線についても紹介し、今後さらに重要度が高まると期待される生体分子の分子科学研究の将来展望を俯瞰する。 




担当:  姜 天龍 (上智大学 南部研究室 D2) 

担当連絡先:    sec3_at_ymsa.jp
※担当連絡先はお手数ですが「_at_」を@に変えて頂きますよう、よろしくお願い致します。

担当者コメント:
第三分科会では名古屋工業大学の井上圭一先生をお招きし、「光受容タンパク質の分子科学研究」と題してお話して頂きます。井上先生は光受容膜タンパク質である「微生物型ロドプシン」を中心に、生体分子分光学、時間分解分光、オプトジェネティクス等の研究分野において第一線で活躍されております。本分科会では、井上先生による講義を通じて、光受容膜タンパク質ロドプシンの光化学の基礎研究から最前線まで理解を深めたいと考えています。専門を問わず、様々な分野の方々の参加を心からお待ちしています。